サクラクレパス(西村彦四郎社長)は、7月4日~12日、東京・柳橋の東京支社地下1階の展示会場で「2024年秋冬新製品展示会」を完全予約制で開催、11日12時から西村社長が前期業績と今期以降の展望についてプレスに向けて説明した。
展示会では、9月から11月にかけての新製品多数が紹介された。同社の公式Xを発端にSNSで話題となり、発売後1か月半で年間目標販売数を達成した「こまごまファイル」も展示された。
西村社長は最初に業績に触れ「23年度連結決算は売上高が前年比106%の463億円だった。海外比率の方は昨年と同様の44%。国内の一般営業は微増傾向、教育市場ではエデュースが伸長した。海外は欧州が若干のアップで、米国は昨年比2桁伸び、全体で106%となった。ただ中国市場はほぼ横ばいで、コロナ以降大きく伸ばせていなところが連結の2桁アップに届かない要因になっている。中国は現地のお客様に聞いたところでも回復までもう少し時間がかかると思う。当社としてはやり方を変えたりすることによって伸ばしていきたい」。
利益面では「原価の上昇と経費面では物流費の高騰、これが利益を大きく削っている状況。物流費は今後も上がっていくと思われる。賃上げについては昨年に続いて今年も上げた。今後も賃上げを続けていくという意味では、生産性を高めて固定費を抑えていく。売り上げが増えても人員は増やさずに生産効率を高めていきたい」と考えを示した。
一方、ベトナムでの展開については「生産面は軌道に乗り上海工場からの移管も終わった。上海工場では中国で売るものを作る。その他日本を含めたほかの国で売るものはベトナムで作るという形になっている。当然、画材関係でも量の多いもの、クーピーは全て国内の鹿児島工場から、クレパスでも主力のものは大阪工場で生産というように生産工場の棲み分けがほぼ出来上がってる状況。ベトナムでの販売面についてはベトナム国営の大きな文具メーカーを総代理店にして取り組んでいるが成果が大きく出ておらず、今後の課題」と話した。
続いて今期について「今年度は6月で上期が終了、業績は売上高は前年比で102%。国内、海外ともに102%。上期は国内の一般営業が伸ばしている一方、エデュースはコロナ特需の反動により非常に苦戦している。海外も為替を除けば微増で若干厳しい。経常利益は107%で、売り上げが厳しい一方、利益はしっかり確保できている。利益面では引き続き原価が上がっているが、国内、海外ともに値上げ効果が出ている。この原価アップ対策としては、値上げというのは応急対策なのでほぼ終わっている。状況にもよるが今後は、仕様変更や、生産工程、ロットの見直し、不採算品種の整理などにより全体のコストダウンを図っていく。もう少し長い目で見た時に、価値を高めた高価格商品も増やしていきたい。当社の『クラフトラボ』だけでなく、例えば100円・200円という筆記具も価値を高めて、300円・400円と、全体的に価値を高めて価格も上げていくということで取り組んでいきたい」と展望を述べた。
「もう1つは利益率が高い新規事業にも取り組んでいく。幼稚園、保育園関係に向けて、新たに『イロドキ』という画像サービスのテストを開始している。これは園にカメラを置いてもらい、そのカメラから園児の様子を自動的に顔をAIで認識してもらい、お母さんお父さんが自分のお子さんだけの画像をいつでも見られるサービス。欲しい画像はプリントして手元でもらうことができる。サービス的な事業は基本的に原価がないので利益率を高めていくことにつながる」。
さらに「関西の物流倉庫については建物が出来上がり、順次内部の機械を入れている状況。8月には全部入れ終わりテストを行い、11月から本格稼働の予定。総有面積6000坪、パレット数1万パレットとなり今の1.5倍の容量となる。この倉庫により年間約9000万円コストダウンできる。10月26日に竣工式を予定。容量も大きくなり、サクラクレパスだけでなく、ターレンズジャパン、共栄プラスチックなど一括してこの倉庫でやっていきたい」。
また「情報基幹システムを30年ぶりに刷新し、今年1月から稼働している。生産性向上の効果に期待している。新入社員は今年12名(男性5名・女性7名)が入社。内訳は総合職が8名(理系5名・文系3名)、事務職2名、技能職2名」とそれぞれ話した。
中期計画の大きな2つの方針としては「1つはサクラクレパスを真のグローバルブランドにすること。世界にサクラクレパスというブランドを知ってもらい、メーカーとして成長していく。もう1つの柱は、子どもの成長を多方面からサポートするソリューションビジネスの展開。この2つの大きな柱により中計を引き続き進めていく」とビジョンを明らかにした。
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2024年08月01日
サクラクレパス、連結売上高106% 新たに画像サービスの事業化を検討
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