ゼブラ(石川太郎社長)は2月20日、東京・新宿区の本社で新技術発表会を開き、紙にも仮想空間にも書くことができるリアルタイム3Dビジュアル生成プラットフォーム「kaku lab.(カクラボ)」を発表し、デモンストレーションを実演した。
ゼブラは、従来の筆記具技術にXR(クロスリアリティ)と生成AIを組み合わせることで、「書く」行為を拡張し、全く新しい手書き体験を実現する技術を開発した。
今後、エンターテインメントや医療など幅広い分野での活用が期待されており、同社は「kaku lab.」を通じてさまざまなビジネスパートナーを募り、新たなビジネスモデルを構築していく考えだ。
「kaku lab.」は、「T-Pen」(アナログとデジタルを融合した筆記具)、「kaku XR」(仮想空間で書くことができるデジタル技術)、「kaku AI」(必要な生成AIをAPIで組み合わせ、コンテンツを生成)の3つの技術で実現される。
仮想空間は、ヘッドマウントディスプレイ、PC、タブレットなど、様々なデバイスで表示できる。
開発にあたっては同社とNTマイクロシステムズ、インタラクティブラボラトリーの3社で共同ですすめ、約3年かかったという。
新技術発表会には、石川社長のほか、畦地教子取締役と新規研究開発室の岩間卓吾室長が出席。
石川社長は「生活やビジネスにデジタル技術が多く普及する中、当社では今後どのような手書きの価値をお客様へ提供できるかを考え、長年にわたり『書く』を研究し続け、新しい筆記体験を提供する技術の開発に取り組んできた。」
「本日お披露目させていただくのは、ゼブラ初の挑戦となる、アナログとデジタルを融合させ最新の技術を駆使し、『書く』の新たな可能性を実現する3Dビジュアル生成プラットフォーム『カクラボ』。このプラットフォームを実現させる上で欠かせないものは、紙などのリアルにも仮想空間にも書くことができる、これまでにない筆記具『T-Pen』。120年以上にわたり筆記を開発続けてきたゼブラの技術が詰まっていると考える。このT-PenとXRやAIの組み合わせによって開発された新技術『カクラボ』では、仮想空間の中で書くことを起点とした様々な体験ができる。」
「私たちは『書く』という行為から創造が始まると信じている。従来の筆記具の枠を超えて、最先端の技術も取り入れながら、『書く』を我々はさらに拡張していきたい。ゼブラの新たな挑戦、『書く』を通して新しい未来を提供する新技術カには我々の大きな可能性がある」と話した。
同社の技術を集結させた筆記具「T-Pen」にはシャープペンシル機能も搭載している。当初、新技術の学習シーンでの使用を想定していたためで、岩間室長は「紙から仮想空間までシームレスに書くことができる」と説明した。一般販売はしない。
ゼブラは2016年から、アナログ技術とデジタル技術を融合させることで、手書きの可能性を広げ、創造力を高める研究を進めてきた。その成果として生まれたのが「kaku lab.」だ。 今後、アナログとデジタルの融合による新たな手書き体験を提供し、さまざまな分野での活用を推進していく。
【「kaku lab.」の特徴】
「kaku lab.」では、以下のような革新的な機能が提供される。
紙にも仮想空間にも書ける
手書きした文字をテキストデータ化・翻訳が可能
ラフな絵を自動でリアルな表現に変換し、動かせる
高度な技術がなくても、多彩なビジュアル表現が可能
教育・医療・エンターテインメント・クリエイティブ分野で活用
【「kaku lab.」を支える3つの技術】
「kaku lab.」は、以下の3つの技術によって実現されている。
1. T-Pen:アナログとデジタルを融合した筆記具
2. kaku XR:仮想空間で「カク」ことができるデジタル技術
3. kaku AI:必要な生成AIをAPIで組み合わせ、コンテンツを生成
【T-Penの特徴】
「T-Pen」(全長146mm、重量19.6g)は、センサーを搭載し、筆記時の速度・角度・筆圧・時間などのデータを取得。Bluetoothを介してデバイスに接続し、筆記のプロセスを可視化するとともに、デジタル空間との連携を可能にする。さらに、通常のボールペンやシャープペンとして紙にも書けるという特性を持つ。Tは「Transform」から名付けた。
「kaku lab.」は、手で「カク」という動作を通じて、人々の創造力を引き出し、自由にイメージを描き出せる新たな体験を提供することを目指している。
開発期間:約3年
【詳細情報】
「kaku lab.」のイメージ動画は、ゼブラのYouTubeチャンネルで公開中。
https://www.youtube.com/watch?v=xbngcM2gBxc
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2025年02月25日
ゼブラ、新たな手書き体験を生む「kaku lab.」発表 120年超の技術集結した「T-Pen」 XRと生成AIで「カク」を拡張した新創造を実現
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