コクヨは、3月27日開催の第68回定時株主総会及び取締役会で、代表取締役社長執行役員(最高経営責任者)に黒田英邦(くろだ・ひでくに)氏を正式決定した。週明けの30日、千代田区の霞が関ライブオフィスで黒田新社長が専門誌紙の共同インタビューに応じた。
主なやりとりは以下の通り。
◆社長の打診をうけたのはいつか
「昨年の11月にあった。前社長(黒田章裕会長)を委員長に社外で構成する取締役の諮問機関である人事委員会で客観的判断により候補者が絞られた。誰がなるのかという視点ではなく、コクヨは中長期的にどんな課題を解決して、持続的な成長を図るのか、という考えに基づき、どんな役割でどの責任を負い、タイミングはいつなのかという議論の中で内示があった」
◆前社長と同じ年齢で社長になるが
「創業110周年とか同じ39才とかはたまたま。親心としてそういうことがあったのは私にはわかりませんが(笑)。ただ、黒田姓でコクヨに入ったからには役に立ちたいと願っており、大きな責任を背負って大きな仕事に就くことも本望。父の役割を引き継ぐことには感慨深いものがある」
◆前社長の経営から学んだことは
「経営の場で前社長の近くで9年間一緒に仕事をしてきたが、お客様をはじめ、協力工場などのパートナー、しいては仲間の社員に至るまで信頼関係を大切にしてながら経営を続けてきた。時にはしんどいこともあったと思うが、信頼関係があってこそ話し合えると率先垂範の心掛けを学ぶことができた。先人達の努力の積み重ねを肌で感じているので、引き続き体得して実行していきたい」
◆変えてはいけないこと、変化させていくことは
「目先の収支にとらわれず、先に話した信頼の経営と会社成長の二つを併存させていくこと。先人達が腐心して守ってきたことは代が変わっても続けていきたい。変えていくことは今の時点ではないが、目の前にある課題をひとつひとつ解決していくことで、結果として変わったねといわれれば、それが変化したということなるのかもしれない」
◆ファニチャーとステーショナリーが一緒になる狙いは
「二つを大きく変えたいということよりも、コクヨとして国内の中で人口が減り、競争や流通変化も激しいなど、国内事業は厳しい状況。その中でも当社は国内で成長していくためにチャレンジすることで、海外事業も成長できる。その時、課題を解いていく中で、事業会社であるコクヨファニチャーとコクヨS&Tの事業や役割をまたいだ難題解決が想定される。会社が分かれていることは悪いことではないが、コクヨのリソースを集中させて、スピードを上げて意志決定を早くするためにも会社という枠を取り払う」
◆海外事業について
「海外事業でも同じで、この10年アジアを中心に一定の成果が出ている。その中でコクヨの海外事業と捉えて一つになって取り組むことで、成長していく。すでに4月から海外事業本部を組成し、ファニチャーとステーショナリーを横串で管轄していく組織を立ち上げた。10月からは事業会社がなくなることで、一つになり効率的なマネジメントができる体制が加速される」
【黒田英邦氏プロフィール】
昭和51年1月生まれの39歳。平成10年3月甲南大学経営学部卒業、12年3月米オレゴン州ルイスアンドクラーク大学経済学部卒業後、13年4月に入社。17年7月コクヨオフィスシステム取締役兼執行役員、19年6月同社取締役兼常務執行役員、21年3月コクヨ取締役、コクヨファニチャー代表取締役社長(現在に至る)。23年3月コクヨ取締役退任、常務執行役員、26年3月同取締役専務執行役員を経て、27年3月に代表取締役社長執行役員に就任
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特集
2015年03月31日
コクヨ黒田新社長「持続的な成長志す」4月から海外事業本部を組織化
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