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2014年06月19日

弱視の子どもに魅力的なノートを 「KIMINOTE」プロジェクト

罫線が太いノートなら上手に字を書くことができる

プロジェクトを進めている伊敷政英さん

 「ロービジョン(弱視)の子どもたちに魅力的なノートを作ろう」。

 視覚に障がいを持った人でも使いやすいノートを作るプロジェクト「KIMINOTE(きみのて)」を進めている伊敷政英さん(37歳、東京都)が、5月末まで、インターネット上で資金を募るクラウドファンディングサービスで、ノート制作の資金提供を呼びかけた。172人から計127万900円が集まり、目標金額115万円を達成。8月中の完成を目指し、伊敷さんはノートの開発を着々と進めている。

 伊敷さん自身もロービジョン。ロービジョンの人は、一般的なノートでは罫線が薄いため見えづらく、字がまっすぐ書けなかったり罫線から大きくはみ出してしまったりなど不便なことが多いという。伊敷さんによると、ロービジョン者向けの罫線が太いノートは2種類程度しかなく、表紙はシンプルなデザインのみ。

 今年2月、伊敷さんはロービジョンの子どもを持つ母親から「娘が、ロービジョン向けのノートではかわいくないから学校に持って行きたくないと話している」と相談を受けた。「周囲の子どもたちが動物やキャラクターが描かれたノートを使っているのに、自分だけがシンプルなノートを使うのは嫌なのではないか」と感じた伊敷さん。ロービジョンの子どもにとって使いやすく、勉強に意欲が湧くようなノートを作りたいと考えたという。

 「君の手で未来を切り開いてもらいたい」という思いと「NOTE(ノート)」をかけて、プロジェクトは「KIMINOTE」と名付けた。クラウドファンディングサービス「READYFOR(レディーフォー)」を活用し、賛同者に支援を呼びかけた。

 罫線が太くマス目の広いノートをインターネットのサービスで作り、表紙はイラストレーターが描いたカラフルなデザインの絵を使用する。B5サイズで、2種類各1000部作成する予定。

 完成したノートは、全国に66校ある視覚特別支援学校や256の特別支援学級に無料で送付する。子どもたちに実際に使ってもらい、罫線の太さや使いやすさ、表紙のデザインなどに意見を聞き、改良を重ねていくという。

 伊敷さんは「選べることは豊かなこと。子どもたちの選択肢を増やしてあげることで、豊かな人生を送ってもらえるように応援したい。障がい者にとって使いやすい文房具は、多くの人にも使いやすいものになるはず。今後は文房具メーカーなどと協力してプロジェクトを進めていければありがたい」と話す。

 資金提供者には、支援金額に応じてノートのプレゼントなどの報酬がある。
 
 プロジェクトの詳細は、https://readyfor.jp/projects/kiminoteから。(現在は終了)

【12月4日追記】
 8月末にKIMINOTEは完成し、全国の盲学校と弱視学級へ寄贈した。ロービジョンの児童や保護者、先生からは「とてもかわいくて、見やすい」「子供がとても喜んでいます」などの声が寄せられ、好評だという。さらに改良を重ね、マスの大きさを3種類に増やし、ウェブサイトで販売している。購入はhttp://kiminote.jp/から可能。

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