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2011年03月31日

閉鎖から開放市場へ 巨大市場、中国のチェーンストア最新事情

中国連鎖経営協会秘書長 裴亮博士(Dr.Pei Liang)

 中国の最新チェーンストア事情のセミナーが、今年1月、香港貿易発展局とメッセフランクフルト共催により香港で行われた。講師は中国チェーンストア&フランチャイズ協会専務理事。イトーヨーカ堂が中国に進出した外資系小売業の成功事例といわれるなど、日本の文具メーカーも無縁ではいられない。


■小売産業の挑戦

 発展を続ける中国の小売業は、急速な生活レベルの向上と、各省に制定される最低賃金法の改定要求に不安定な状況である。

 加えて知識層の人材不足と工場、商業地域によって相違する電力料金差、また工場リース更新期に家賃が上昇する気配も強く、小売業界は次第にM&Aが進み、大小の格差が付き始めた。2008年秋の米国リーマンショックの影響は大きく、多くの小売ビジネスがディスカウント型に走っている。このため、政府介入という事態も予想された。

 中国で「通道費」(トンダウフェイ)、香港では「棚上代」という一種の上納金制度(サプライヤーが小売店に渡すリベート)が、政府によって制度化される可能性がある。


■人材不足

 比較的高学歴の人材が払底してきた。欧米、日本から大手小売チェーンが上陸、各社とも年間平均50店舗のオープンを計画している。

 地元資本も、チェーン化を急ぐ小売経営企業が全土に店舗展開を急ぎ、予想される内外の競合に勝ち残るため、店長クラスの人材を求めている。

 中国では一般的に“売場が本社より強い”傾向があり、スタッフ採用の決定権は店長が持っている。フランス大手のカルフールはこのケース。だがアメリカのウオルマートが、コンピューター化による一定の採用基準を採用しているように、次第に情報化の進展で変わってくる。現状はカルフールタイプが多い。


■近未来の課題

 同一地域内のサービスを多角化し、一人でも多くの顧客を取り込む工夫が盛んだ。

 天津のある量販店は、従来肉や野菜の生鮮3品中心だったが、生活材を取り揃え、顧客の電気代、水道料金振りこみ、公演チケット販売などのサービス分野を広げ、来場顧客が劇的に増加した。

 さらに顧客対象を広げ、ハイエンド(富裕層)など店舗全体を高品質化した。


■地元資本も大型化

 大手企業の華潤集団(チャイナリソースグループ、上海)は最近オーレイ(OLE)名のGMS(総合量販店)を展開、各地で大人気。蘇寧電器(スーニン)も高級店チェーンをスタート、香港ベースのシティスーパーは上海、広州を主たるターゲット市場に早いペースで出店中である。

 これに対して地元スーパーも懸命に牙城を守るため、8000?屬?ら1万?屬嚢圓辰討?た売り場を1万5000?屬?ら3万?屬帽?げ、うち5000?崢?度を有名ブランドや専門店を誘致する。そして業態も多角化へ拡げ、不動産業や住宅ビジネスを行うなど、境界なき戦いが始まった。

 最後に中国の小売企業のネットビジネスだが、最近の調査では中国の小売大手100社のうち、31%がネットに取り組み、アメリカのテスコ、メイシー、ウオルマートなど大手の60%が順調に伸ばしている数値に近くなっている。早いスピードで内陸部にも広がる小売チェーンの成長は、まさに予断できない規模になるだろう。


●裴亮氏プロフィール

中国人民大学経済学科卒、1991年から2000年まで政府機関に従事、2002年中国チェーンストア&フランチャイズ協会(CCFA)に参加、専務理事に就任。業界指導者の地位にある。


(月刊「BUNGU TO JIMUKI」3月号に掲載)

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