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2010年11月04日

今こそニッポン発の機能文具に注目 海外文具普及のゆり戻し?

捨てられる運命にあった革の端材を集めて使った便せんも日本製だ(東京台東区)

例えば、セロテープの切り口のギザギザ部分を直線にする、などという発想は日本のメーカー以外にはできない(ニチバン「直線美」)

 文具店の品揃え構成が、事務用品からパーソナル文具に移行する過渡期の中で、多様化している。その中で、ニッポン発の機能系文具に注目する動きも出てきている。

 最近、記者は文具専門店でパンストの品揃えを見て、違和感をぬぐい去ることができなかった。

 従来、文具店は、文具、事務用品と紙製品の品揃えがメイン。製図用品、書道用品を含めても、専門店としての深い品揃えがあった。出店場所も、学校前や商店街のいわゆる路面店が多かった。

 ところが、時代は変わり、今や文具店は駅前ビルのテナント、ショッピングセンターや郊外型などに新店が続いている。

 また置かれる商材も、オフィス通販や不況の影響で、20~30代を想定したパーソナル向けの品揃えに変わり、雑貨をはじめ、玩具、携帯オーディオグッズから、シュシュなどの装身具まで売上が取れると横に幅が広がった分、文具や紙製品はどんどん浅くなっていくばかり。これでは、良質な文具の機能を紹介していくことは無理だ。

 
 そんな中で、新店でニッポン発の機能系文具に注目する若い世代も出てきている。 

 最近、都内に出来たあるセレクト型文具店は、高級筆記具の一部を除き、一般文具はすべて日本製で品揃えする。

 同店の30代オーナーは「海外ステーショナリーが日常的になってきた中で、逆に日本製品の質感が新鮮になってきた」。革の端材で作った封筒や便せん、和紙の金封など、環境に配慮した文具が多い。

 同氏は全ての取り扱い商品に対して、なぜここで品揃えしているかの理由を、顧客に説明できるという。

 セレクトショップの場合、街の文具店とは異なる高級感を演出するテイストの一つとして、デザインで存在感を持つ欧米系の海外ステーショナリーを品揃えすることが定石となっており、海外文具人気を後押しする。

 新店を控える別の文具店オーナーは、「日本の文具には世界初の素晴らしい機能を持つ製品がたくさんあるのに、お客さんに伝えられず、市場から消えていったものがたくさんある」と、憤りを隠さない。

 さらに、「日本の優れた機能系文具をお客さんに伝えるのは文具店の役割。文具メーカーは、工場見学などで文具店に伝える機会を作って欲しい。こんなに手間をかけて作っていると知れば、安易な安売りはできない」と、期待する。

 今月にオープン予定の新店では、日本の文房具を体験する様々な仕掛けを用意して、文具の素晴らしさを伝えていく売場にするという。

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