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2010年09月01日

こんなところでも、最果ての地でも前向き…ニッポン縦断で文具店訪問

【石垣島】国立バンナ公園やグラスボートで湾内を巡ることができる川平湾。那覇からは飛行機で50分だ

【紋別市】流氷のなかを進む真っ赤なガリンコ号は一度は乗ってみたい。羽田から90分で行ける

 南北に長い日本は想像以上に広かった。

 北の札幌から南の那覇までは、羽田で乗り継いでも約5時間。今回、月刊「BUNGU TO JIMUKI」連載のお店拝見400回を記念して、最果ての地で文具を販売する3店を訪問し、あらためて文具店を考えてみた。


 今回の取材では、まず沖縄の離島、続いて広大な北海道のさらに北方、そして東京にある離島。この3つのエリアを中心に文具店を探してみた。遠隔の地にある文具販売店に共通するのは、兼業店であるということ。書籍、郵便局など人口比率を考えた利便性を追求すると当然のことであった。



●人気のリゾート地、石垣島の文具店とは

 最初に訪問したのは、気温32度、沖縄の離島、石垣島。

 機内の窓から眼下を見下ろすと紺碧の海とエメラルドグリーンの珊瑚礁、ラグーンが見える。梅雨明けしたばかりの石垣島の気温は32度。夏の気温としては平均的だが、日差しが刺すように痛い。

 石垣島は八重山諸島に属する。沖縄では沖縄本島、西表島に次いで3番目に大きな島。島の周囲は130キロ、人口は4万6000人ほどで、年々本土からの移住者が増え続ける人気の島だ。

 石垣空港から車で北上すること約10分。島内でもっとも賑やかな中心地、アーケード街の一角に軒を構える書籍文具店「タウンパルやまだ」を訪問した。120坪と広い店内には入り口手前側に文具、奥部に書籍を並べる。

 文具では、一般文具、ホビー、ギフトを中心に約5000アイテムを揃える。売れ筋は、筆記具はもちろんのこと、学童文具、事務用品、消耗品が人気だ。同店は納品業務に注力しており、店売り6割に対し、納品業務は4割を占める。石垣島、竹富町など合わせて150社ほどと取引している。

「常にアンテナを貼って、OA機器販売、はんこ屋さん21を武器に活用して、地域ナンバー1を目指していきたい」と山田隆雄社長は前向きだ。



●続いてオホーツク海に面した紋別の文具店に

 石垣島に続いて向かったのは北の大地、北海道の紋別市。訪れた7月の始め、訪れた日は霧がかかり、気温18度。石垣島より10数度低い。

 日本の最北端に近く、オホーツク海に面しており、冬の時期は、流氷が接岸する。紋別市は面積830キロメートルで、人口は約2万4000人。

 観光名所は、オホーツクスカイタワー、流氷科学センター、温水プール、流氷のなかを進むガリンコ号、愛らしさ満点のごまあざらしを集めた、ごまちゃんランドなどがあり、観光客・地元民にも人気のアミューズメントスポットだ。

 オホーツク紋別空港から車に乗ること約10分。紋別市の中心街にある文具専門店「富貴堂」(マル慎富貴堂)を訪問した。

 43坪の店内には、一般文具、ファンシーグッズ、ギフト、ホビー、画材などおよそ3000点を越えるアイテムが什器に並ぶ。売れ筋は、筆記具をはじめ、金封や封筒などが人気という。

 車客が多いのが特徴であり、8割が車での来店という。駐車場は店舗隣に5台分のスペースを確保。

「この辺りは、車がないと不便だし、江差や紋別の外れからもお客さんが来ます」と2代目の遊佐慎太郎社長。可能な限り、来店客の取り寄せリクエストにも対応する。スタビロの色鉛筆や油絵の具などの取り寄せ依頼などがあるそうだ。



●最後は大雨にも負けず東京の離島 八丈島の文具店に行く

 伊豆諸島に属する八丈島は東京の南方海上287キロのところ、太平洋に浮かぶ島。羽田空港からは飛行機で約50分のフライトだ。梅雨の季節ともなると、梅雨前線が停滞し、島には雨とともに、霧が立ちこめ、視界が悪く欠航が相次ぐこともしばしば。

 今回も当初の予定が欠航となり、2度目の八丈島行きは、大雨のなか、旋回することなく無事に着陸。梅雨明けのシーズンはさぞ素晴らしいところだろう。

 島の周囲は58キロ、人口はおよそ8200人。行政区分は東京都八丈町。名産品は、くさややアシタバ、焼酎、島寿司も有名で、観光スポットは、活火山の八丈富士や丸石垣、八丈島温泉が四季を通じて楽しめる。

 空港から車で約5分の市街地にある文具と書籍の「大志堂」を訪問。同店は昭和38年に創業。先代の後継として引き継いだのが、菊池泰彦社長だ。

 100坪の店内には、本土から運搬される書籍、文具が並ぶ。文具の取り扱いアイテムは、500種類以上。一般文具、ギフト、ホビー、ファンシーに至るまでをラインナップする。主な売れ筋は、OA関連のインクやOA用紙が売れるという。

 菊池社長は「島への商品入荷は、天候に大きく左右され、台風のシーズンともなると欠航続きで欠品の状態になることもあります」と厳しい自然を考慮しながらの商いだ。

「これからも在庫管理をしっかりやりながら、お客様と丁寧に接する事を心がけていきたい」と菊池社長。

 当たり前のことを当たり前のようにする、それが地域密着型の文具店のあるべき姿なのかもしれない。

(詳細は月刊「BUNGU TO JIMUKI」2010年8月号に掲載。取材者は朝倉美千代ライター)



※石垣島へは、羽田、大阪、名古屋(中部)、福岡から沖縄那覇で乗り継ぐ。羽田から約4時間15分。

※紋別へは羽田から約90分。

※八丈島は羽田から約50分。

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