世界同時不況で、企業が経費削減にやっきになっている。不景気になると、あらゆるものが見直される中、まずはここからとなる。
都内の中堅企業は、「オフィス通販禁止令」を出した。この企業では、業績が悪化したというよりも、今まで部署単位でバラバラに発注してきた不効率な状況を戒める形で発令した。各個人の引き出しの中に眠っていた筆記具や事務用品を集めて、部署内全体で再利用しているという。
都内にある大手百貨店の事務部門は、小売不況の影響をうけて、オフィス通販の発注毎に承認を必要とするように改め、無駄な経費の見直しを始めた。
対象になるのは、プリンタトナーやコピー用紙など消耗品、この買い控えが目立つ。顕著な例では、「ホッチキスの針も対象になっている」(販売店)と極端なケースもあり、節約ムードに乗っているだけの企業もあるはずだ。
大手オフィス通販、アスクルのインターネット経由売上高も、あおりを受ける形で、今年の3月~5月度はすべて前年割れ、購入客数は通期で4.5%と増えているのに対して、購入客単価は08年6月~11月度の2%減から、08年12月~09年5月度は、6%減とさらに下落幅が拡大した。同社は、5月9日から送料が無料になる注文金額を、税込1900円以上から同1500円以上に引き下げ、顧客に購入しやすくした。
単価幅の大きいオフィス家具や、事務機器はさらに厳しい。
大手オフィス家具メーカーの社長によれば、例年なら3月下旬にある、予算を使い切りたい官公庁や企業からの駆け込み発注ピークが今年はなかったと嘆く。別メーカーのオフィス家具を配送する物流会社は開店休業の状態だという。
ビジネス機械・情報システム産業協会が5月21日発表した、複合機の今年1月~3月の、国内出荷実績(台数)は前年同期比で22.9%、海外も同34.7%と減少した。大手メーカー、リコーの担当役員は、「厳しい状況だが、今はぜい肉をそぎ落として、来るべき時に備え、力を蓄えておくことが大事」と、今週の会合で話した。
こうした企業のケチケチ作戦には、懐疑的な意見も。
「本来なら訴求効果の高いカラープリントで提案すべき顧客にも、経費削減だからと一律にモノクロで刷った提案書を持参している。事務用品や蛍光灯を削っても、中小企業にはたいした効果はない」(関係者)。
一方、店頭の文具店でも法人需要の落ち込みはあるものの、「マスクと手の消毒液は品切れで、入荷待ちの状態」(都内の文具店)と新型インフルエンザによる特需の恩恵を受けたところもあった。
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2009年05月29日
節約指向ムードで、通販禁止令も オフィス回りの需要急減
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