矢野経済研究所は1月14日、国内文具・事務用品市場の調査結果を発表し、2023年度の国内文具・事務用品市場規模は、メーカー出荷金額ベースで前年度比0.5%減の3965億円となった。
調査は筆記具、紙製品、事務用品の3分野27品目(※)を対象に、2024年10月~12月に実施した。
同市場は、2020年度に新型コロナウイルスの感染拡大による行動制限等の影響を受けて大幅な市場縮小を余儀なくされたが、2021~2023年度の市場規模も前年度割れとなり厳しい状況が続いている。
2023年度は新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行したことによる社会経済活動の正常化が進んだものの、コロナ禍を経ての多様な働き方の浸透によるオフィスにおける需要の減退や、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進などを受けたペーパーレス化の進行、学童人口の減少、学校教育のデジタル化の進展などの影響を受けて、文具・事務用品市場は引き続き縮小となった。
一方、原材料費やエネルギーコストをはじめとする諸経費の上昇が続く環境を受けて、文具・事務用品メーカーの多くが売価の上方改定を実施しており、これが市場規模の底上げに一定の寄与をしている。
調査では、少子化が進行する中でも、シャープペンシルの市場規模は増加基調と分析。
シャープペンシルは、主要メーカー各社が投入する、芯の先がとがり続ける、芯が折れない、自動で芯が出続けるなどの機能を搭載した高機能・高付加価値商品がメインユーザーである中高生を中心に好評を得ている。
ユーザーは学校や塾、教科、芯径での使い分けなどで複数本を購入する流れを創出しており、高機能・高付加価値化による単価向上も相まって、少子化が進行する環境においても、金額ベースのシャープペンシル市場規模は拡大基調にある。
また、昨今はYouTubeなどの動画配信サイトに主要メーカー各社のシャープペンシルの機能をユーザーが評価・紹介する動画が多数投稿されており、これらの動画も当該市場の活性化に寄与している。
2024年度の国内文具・事務用品市場規模は、メーカー出荷金額ベースで前年度比0.6%減の3,939億7,500万円を予測する。
2024年度の筆記具市場は前年度比プラス成長が見込まれるものの、紙製品市場、事務用品市場はマイナス成長が見込まれることから、文具・事務用品市場全体では縮小する見通しとした。
※ 筆記具(鉛筆、万年筆、油性ボールペン、水性ボールペン、シャープペンシル、油性マーカー、水性マーカー)、紙製品(ノート、学習帳、手帳類、封筒、アルバム、ルーズリーフ、レポート用紙)、事務用品(ファイル類、粘着テープ、印章類、ラベル類、事務用のり、黒板類、修正用品、カッター、ステープラー、消しゴム、文具はさみ、電子文具〔ラベルライター他〕、電子辞書)の3分野27品目が対象。なお、水性ボールペンにはゲルインキボールペンを含む。
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2025年01月14日
23年度は0.5%減の3965億円、24年度はマイナス成長 文具・事務用品市場 矢野経済調査
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