文具業界の問題とは何か?不況、物価高、流通環境の変化などの外的要因に対して、内なる問題を探るべく、インターネット上でアンケート調査を実施した。
文具業界の内的問題点は、大きく分けて二つある。まず一つは「保守的な体質」だ。
アンケートから拾ってみると、
「他業界に比べての危機意識の無さ、不勉強さ、そしてそういう人がある程度の地位や暮らしを確保できてしまっている温かさ」(メーカー・31~40歳)
「若い経営者が少ない。古い人が牛耳っており守りの姿勢で発展がない。若い人を育てていない」(文具専門店・31~40歳)
「業界が狭いのに閉鎖的。新しいことになかなか手をつけない」(文具専門店・31~40歳)
「体質が古い。新しい業態を見習って、どんどん新しいことをやっていけばまだまだ伸びると思うのだが」(メーカー・21~30歳)
「高齢化、メーカーから販売店にいくにしたがって、文具に対する愛情を持った人が少ない。特に年配の人間」(卸・31~40歳)
ある関係者は、「昔は良かったみたいな考えの人が多くて、唖然とする。1990年代中頃から、顧客が変化しているのに対応できていない」と手厳しい。国家公務員を除き、年功序列が崩れているのに、若い人が自由闊達に活躍できる場がなければ、流動化の時代、他の業界にさっさと行ってしまうだろう。
他業界から転入したメーカー社長は「文具業界の生産性は低い。このままでは魅力ある人材は入ってこないだろう」と話す。
店頭では高感度なパーソナルステーショナリーが伸長している。ギフトニーズも文具と雑貨のコンビネーションなど、変化している。古い体質と決別しなければ、後継者もなく将来はないだろう。
もう一つは、「メーカーの限界点が近づいている」。
「単一メーカー&単一業界では生き残れない。業界内での生産・販売・流通の協業化を更に推し進めないと単一メーカーでは生き残りは苦しい」(その他・51~60歳)
「市場が縮小している中、隣接業界も含めた業界再編が起こるであろう」(メーカー・41~50歳)
「他の業界に比べて単品メーカーが多すぎでグローバルな発想が出てこない」(その他・51~60歳)
某メーカーの幹部は、私見だがと前置きして、「本来なら、大手メーカーが単品メーカーを買収して傘下入りさせることも出来たはず。これがこの業界の温かさ。翻れば甘さ。ただ今回のように原料が高騰しても価格にコストを転嫁できるのはブランド力のあるところだけ。米国はバブルの入口といわれる中で、体力のないメーカーは合従連衡しなければ生き残れない」。
人口減に伴う国内市場縮小に対する懸念や海外市場開拓の必要性をふまえると、M&Aで生き残り・成長を図ろうとする業界企業は中長期的には増加傾向と見る。
(全文を月刊「BUNGU TO JIMUKI」1月号に掲載)
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2009年01月23日
外患内憂の業界 抱える2つの問題とは アンケートから
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